
ドライバーを採用したいものの、求人広告や人材紹介にどこまで予算をかけるべきか判断できず、悩んでいる採用担当者もいるのではないでしょうか。
採用単価を把握するときに注意したいのは、求人媒体へ支払った金額だけで判断しないことです。応募対応や面接にかかった社内工数、採用後すぐに退職した場合の再募集なども含めて考えなければ、採用活動の費用対効果を正しく評価できません。
本記事では、ドライバーの採用単価の目安や計算方法、採用費用が高くなる理由、採用手法別の課金方式を整理します。
さらに、採用単価を抑えるための改善策と、採用予算を決める手順まで解説します。
目次
ドライバーの採用単価の相場と比較方法
ドライバーの採用単価を確認するときは、相場の金額そのものより、何を費用に含め、どの期間・職種を対象としているかを見ることが重要です。
同じ30万円という採用単価だとしても、求人広告費だけで算出した企業と、人材紹介料や採用担当者の工数まで含めた企業では意味が異なります。
採用単価の目安
ドライバーの採用単価について参考になる数字のひとつが、グリーンベルが2022年に公表した実態調査です。同社の記事では、平均的なドライバーの採用単価は30万円前後で、50万円かかっている企業もあったとされています。
ただし、調査対象となった企業数や採用費に含めた項目などの詳細までは示されていません。そのため、30万円を現在のドライバー採用の全国平均と考えるのではなく、自社の採用費を検討するときの参考値のひとつとして扱うのが適切です。
ドライバーの採用単価は、勤務地や車種、必要な免許、勤務時間、給与、採用する人物像などによっても変化します。大型ドライバーの経験者だけを採用するケースと、普通免許を持つ未経験者まで対象を広げるケースでは、候補者の母数が異なります。
採用経路による違いも考慮しなくてはいけません。無料で求人を公開できるハローワークと、掲載料を支払う求人媒体、人材を紹介してもらい採用時に費用が発生する人材紹介では、費用が発生するタイミングや採用担当者の負担が異なります。
したがって、相場を見るときは金額だけでなく、少なくとも以下の条件を確認する必要があります。
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比較する項目 |
確認する内容 |
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対象職種 |
大型・中型・小型・ルート配送など |
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勤務地 |
都市部・地方など採用エリア |
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採用条件 |
必要免許・経験・勤務時間・給与など |
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集計期間 |
1か月・半年・1年間など |
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費用範囲 |
広告費のみか、人件費・紹介料等を含むか |
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採用人数 |
実際に入社した人数 |
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定着状況 |
入社後に一定期間勤務しているか |
相場より高いという理由だけで、現在利用している媒体を止める必要はありません。必要な人材を期限内に採用でき、定着しているのであれば、単価が多少高くても合理的な採用方法である可能性があります。
自社の採用費用との比較方法
自社の採用単価を比較するときは、会社全体の数字をまとめるだけでなく、採用経路や営業所、募集職種ごとに分けることが大切です。
例えば、求人媒体A・求人媒体B・社員紹介を利用して合計4人を採用した場合、全体の採用単価だけを見ると、どの採用経路が成果につながったのか判断できません。
そこで、以下のように媒体別に集計します。
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採用経路 |
費用 |
応募 |
面接 |
入社 |
採用単価 |
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求人媒体A |
40万円 |
20人 |
8人 |
2人 |
20万円 |
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求人媒体B |
30万円 |
8人 |
4人 |
1人 |
30万円 |
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社員紹介 |
10万円 |
3人 |
3人 |
1人 |
10万円 |
※数値は計算方法を説明するための架空例です。
この場合、採用単価だけを見ると社員紹介が最も低くなります。ただし、社員紹介だけで必要人数を継続的に確保できるとは限りません。
一方、求人媒体Aは社員紹介より単価が高くても、多くの応募を確保できています。年間10人を採用する必要がある会社なら、媒体Aを残したほうが採用計画を立てやすい可能性があります。
採用単価は、単純な安さを競う指標ではありません。必要な人数を必要な時期までに採用できるかまで含めて評価しましょう。
ドライバーの採用単価の計算方法と費用の内訳
採用単価を改善するためには、まず同じ基準で継続的に数字を集計できる状態をつくる必要があります。
採用単価の計算方法を紹介します。
採用にかかった総費用を実際の入社人数で割る
採用単価の基本的な計算式は、次のとおりです。
採用単価=採用にかかった総費用÷実際の入社人数
一例を挙げると、半年間で求人広告や人材紹介などに120万円を使い、4人が入社した場合の採用単価は30万円です。
120万円÷4人=30万円
注意したいのは、応募者数や内定者数ではなく、原則として実際に入社した人数で計算することです。
10人に内定を出しても、実際に入社した人が5人なら、5人で計算します。内定辞退者を採用人数に含めると、実際よりも採用単価が低く見えてしまうためです。
また、1月から6月までの費用を計算するなら、採用人数も同じ期間・募集活動に対応させます。期間や条件を毎回変更すると前年や媒体間の比較が難しくなるため、社内で集計ルールを決めておきましょう。
求人広告費・紹介手数料と社内の人件費を集計する
採用費用として最も把握しやすいのは、求人媒体や人材紹介会社など外部へ支払った費用です。
しかし、実際の採用活動では、採用担当者や現場責任者も多くの時間を使っています。
主な費用は、以下のように整理できます。
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区分 |
主な費用 |
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外部費用 |
求人媒体、求人広告、人材紹介、採用サイト、採用ツールなど |
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社内工数 |
求人原稿作成、応募対応、面接、条件調整、入社手続きなど |
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受け入れ費用 |
同乗研修、安全教育、制服・備品、免許取得支援など |
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再採用関連費 |
早期退職後の求人再掲載や再面接など |
採用担当者の人件費まで管理する場合は、採用業務に使った時間に社内で設定した時間単価を掛けて概算できます。
ただし、採用単価と入社後の育成費をすべてまとめると、改善すべき場所がわかりにくくなる場合があります。そのため、採用活動そのものにかかった費用を採用単価として管理し、入社後の教育や免許取得支援などは受け入れ費用として別に管理する方法も有効です。
さらに、一定期間後に在籍している人数を分母として定着単価を確認すれば、採用後の離職まで含めた費用対効果を把握できます。
応募単価・面接単価・採用単価の違いを理解する
採用活動を改善するためには、採用単価だけでなく、応募や面接までの数字を分けて確認しましょう。
代表的な指標は以下のとおりです。
- 応募単価=採用媒体などの費用÷応募人数
- 面接単価=採用媒体などの費用÷面接人数
- 採用単価=採用にかかった費用÷入社人数
例えば、30万円の広告から30人が応募すれば、応募単価は1万円です。しかし、面接に進んだ人が3人だけで、誰も入社しなければ、採用成功とはいえません。
反対に、30万円の広告から応募が10人でも、そのうち3人が入社すれば採用単価は10万円になります。
このように、応募単価だけを下げようとすると、採用したい人物像から離れた応募を増やしてしまう可能性があります。応募が少ないのか、面接に進まないのか、内定辞退が多いのか、入社後に辞めているのかを分解して確認することが重要です。
ドライバーの採用単価が高くなる3つの理由
ドライバーの採用単価が高くなる背景には、求人市場そのものの人手不足だけでなく、採用条件や選考方法、定着率など複数の要因があります。
今現場でどのような問題が起きているのか、それぞれの理由を深掘りしていきます。
人手不足と高齢化により採用競争が続いている
ドライバー採用が難しい理由のひとつが、求職者に対して求人数が多いことです。
厚生労働省の「統計からみる運転者の仕事」では、トラック運転者の有効求人倍率は2020年度の1.94倍から、2024年度には2.37倍まで上昇しています。同じ2024年度の全職業平均は1.14倍です。
有効求人倍率2.37倍は、おおむね求職者1人に対して2件以上の求人が存在する状況を表します。企業数の比率ではありませんが、企業側から見れば候補者を確保しにくい市場になっていることがわかります。
また、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、2025年賃金構造基本統計調査をもとにしたトラックドライバーの平均年齢が51.5歳と示されています。今後、退職者の補充が必要になれば、新たなドライバーを採用する企業がさらに増える可能性があります。
求職者が少ない市場では、求人を掲載するだけで十分な応募を得られるとは限りません。掲載期間が延びたり、複数の採用経路を利用したりすれば、結果として1人を採用するための費用も増えやすくなります。
必要免許や労働条件により応募者が限られる
ドライバーと一口にいっても、運転する車両によって必要な免許が異なります。大型車を運転できる経験者だけを募集すれば、普通免許を持つ人まで対象にした求人より候補者は限られます。
さらに求職者は、給与だけで仕事を選ぶわけではありません。始業・終業時刻、休日、長距離運行の有無、夜間勤務、荷物の積み降ろし方法、配送件数、固定ルートかどうかなども応募判断に影響します。
求人条件を厳しく設定するほど、自社の条件と一致する人は少なくなります。
もちろん、安全な運行に必要な資格や経験を無理に緩和すべきではありません。重要なのは、本当に採用時点で必要な条件と、入社後の教育で補える条件を分けることです。
即戦力採用だけに固執すると募集期間が長期化する場合は、育成を前提とした採用も検討する必要があります。
選考辞退や早期離職により募集を繰り返している
応募が来ていても、選考途中や入社後に候補者が離脱してしまうケースがあります。求人広告へ50万円を支払い1人を採用できたとしても、その人が短期間で退職し、もう一度50万円をかけて募集すれば、人材を確保するための負担は大きくなります。
特に注意したいのが、求人票と実際の仕事内容の違いです。勤務時間や給与だけでなく、配送エリア、荷扱い、待機時間、車両、1日の仕事の流れなどについて応募者が想像していた仕事と実態が異なると、早期退職につながる可能性があります。
採用単価が高いと感じたら、広告費だけを見るのではなく、応募から面接、内定、入社、定着までのどこで人数が減っているかを確認しましょう。
採用手法別の費用・課金方式と向いているケース
採用単価を比較する場合、採用手法ごとの課金方式を理解しておく必要があります。
採用手法別の費用・課金方式と、それぞれに向いているケースを解説します。
掲載課金・クリック課金・成果報酬型求人の違い
求人サービスの代表的な料金体系には、掲載課金、クリック課金、成果報酬があります。
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課金方式 |
費用が発生するタイミング |
向いているケース |
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掲載課金 |
一定期間求人を掲載するとき |
採用人数や期間を決めて募集したい |
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クリック課金 |
求人がクリックされたとき |
配信量を調整しながら運用したい |
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成果報酬 |
応募・採用など所定の成果発生時 |
初期費用を抑えたい |
掲載課金は、採用できなかった場合でも掲載料が発生するのが一般的です。一方で、複数人を採用できれば、1人あたりの採用費を下げられる可能性があります。
クリック課金では、閲覧を集めても応募や採用につながらなければ費用だけが発生します。そのため、クリック単価だけでなく応募単価や採用単価まで確認する必要があります。
成果報酬型は、費用が発生する条件を確認しましょう。応募、面接、採用など、何を成果とするかはサービスによって異なります。
自社に最も適した方式は、一律には決まりません。過去の応募数や採用人数、必要な採用人数をもとに比較することが重要です。
人材紹介|成功報酬と返金・追加費用の条件
人材紹介では、求人企業の条件に合う候補者の紹介を受け、採用が成立した場合に紹介手数料が発生する方式が一般的です。求人広告とは異なり、候補者の選定や紹介を人材紹介会社が担うため、採用担当者の負担を軽減できる場合があります。
ただし、料金を比較するときは成功報酬の金額だけを確認するのでは不十分です。採用後に短期間で退職した場合の返戻金制度、追加料金、契約期間、違約金なども確認しましょう。
厚生労働省は、職業紹介事業者に対して、紹介手数料の実績を人材サービス総合サイトへ掲載することなどを求めています。2025年4月からは紹介手数料の実績公開や、違約金に関する定めを求人者へ誤解が生じないよう明示するルールも施行されています。
そのため、人材紹介会社を比較するときは見積書だけでなく、手数料率の実績、契約条件、返戻金制度などを合わせて確認すると判断しやすくなります。
参考:厚生労働省|雇用仲介事業者(職業紹介事業者、募集情報等提供事業者)は新たなルールへの対応が必要です
ハローワーク・社員紹介・自社採用サイト|運用の手間も比較する
広告費を抑えたい場合は、ハローワーク、社員紹介、自社採用サイトなども候補になります。
ハローワークでは、求人を無料で全国のハローワークやインターネット上に公開できます。ただし、掲載料が無料だからといって、採用コストが完全に0円になるわけではありません。求人票の作成、応募者への連絡、面接などには社内の工数が必要です。
社員紹介も同様です。外部媒体への掲載費がなくても、紹介した社員へ報奨金を設ける場合には費用が発生します。また、必要人数を安定して採用できるとは限りません。
自社採用サイトは、求人情報の量や見せ方を自社で管理できるのがメリットです。一方、サイトを作っただけで求職者が訪れるわけではないため、検索やSNS、求人媒体などからの流入経路も必要になります。
無料か有料かではなく、実際に何人を採用でき、そのために担当者がどの程度の時間を使ったかまで含めて比較しましょう。
ドライバーの採用単価を抑える5つの改善策
採用単価を抑えるために、まず広告費を削る必要があるとは限りません。応募から定着までの歩留まりを改善したほうが、結果的に採用単価を下げられるケースがあります。
ドライバーの採用単価を抑える5つの改善策を紹介します。
求人票に給与・勤務時間・荷扱いを具体的に記載する
求人票では、求職者が実際に働く場面を想像できる情報を掲載しましょう。仕事内容を配送業務とだけ記載しても、仕事の負担は判断できません。
車種、配送エリア、1日の配送件数、走行距離、積み降ろし方法、手積み・手降ろしの有無、夜間運行の有無、休憩時間、残業、休日などを具体的に記載します。
給与についても、基本給や各種手当などを明確にしておくことが重要です。
応募数だけ増やすために仕事内容を良く見せても、入社後に実態との違いがわかれば早期離職につながります。
求人票の役割は応募を最大化することではありません。自社の仕事を理解した人から応募してもらい、入社後のミスマッチを減らすことです。
応募後の連絡を早め、面接日程を柔軟に調整する
ドライバーのように有効求人倍率が高い職種では、求職者が複数企業へ同時に応募している可能性があります。そのため、せっかく応募が来ても、連絡が遅くなれば他社の選考が先に進みます。
まず、応募を誰が確認するのかを明確にします。採用担当者が休みの場合や営業時間外に応募が届いた場合にも、対応が止まらない仕組みを作っておくとよいでしょう。
面接についても、現在働いている求職者が参加しやすい時間帯を検討します。
重要なのは面接を早めることではありません。応募受付、初回連絡、面接設定、結果連絡までにかかる日数を記録し、自社のどこで選考が止まっているかを把握することです。
求人媒体への支出を増やす前に、すでに獲得した応募を採用につなげられているか確認しましょう。
免許取得支援と研修体制を整え、未経験者にも対象を広げる
経験者だけでは十分な応募を確保できない場合、未経験者を育成する採用方法も選択肢になります。入社時点で運転可能な車両を担当してもらい、勤務しながら必要な免許取得を支援する方法が効果的です。
ただし、対象者を広げるためだけに応募条件を緩めるのは適切ではありません。免許取得費の支援範囲、同乗研修の期間、指導担当者、独り立ちを判断する基準などを先に整えておく必要があります。
また、事業用自動車の運転者に対しては、法令に基づく適切な指導・監督が求められています。採用コストを抑えるために必要な安全教育を省くことはできません。
未経験者を採用する場合は、経験者を採用する費用だけでなく、免許取得支援や教育費、教育担当者の工数、実際に配属できるまでの期間を含めて比較しましょう。
経験者採用の単価が40万円、未経験者採用が20万円だったとしても、教育に大きな負担がかかるなら、単純に未経験採用のほうが安いとは判断できません。
媒体ごとの入社実績を検証し、掲載・配信条件を見直す
求人媒体は、応募数だけで評価しないことが重要です。毎月多くの応募が来る媒体でも、面接や入社につながらなければ、採用媒体として十分な成果が出ているとはいえません。
少なくとも、媒体別に以下の数字を確認します。
- 応募数
- 面接数
- 内定数
- 入社数
- 一定期間後の在籍人数
たとえば、媒体Aから20人、媒体Bから10人の応募があった場合、一見すると媒体Aのほうが優秀に見えます。しかし、Aからの入社が1人、Bからの入社が3人であれば評価は変わります。
車種や営業所によって成果が異なる可能性もあります。大型ドライバーでは媒体A、地場のルート配送では媒体Bというように、募集ごとの成果を分けて確認しましょう。
数字を確認した結果、成果が低い媒体はすぐ停止するのではなく、求人原稿や配信地域、応募条件に問題がないかを検証します。そのうえで改善しても成果が変わらなければ、予算の移動を検討します。
入社前の説明と入社後のフォローで早期離職を防ぐ
採用単価を下げるうえで見落とされやすいのが、入社後の定着です。
1人を安く採用できても、その人が短期間で退職して募集をやり直せば、採用担当者の工数や広告費が再び発生します。そのため、選考段階から良い面だけではなく、実際の仕事内容を具体的に説明しておきましょう。
勤務時間や配送ルート、荷扱い、繁忙期の状況など、入社後にギャップが生まれやすい項目は特に重要です。入社後も、研修終了まで放置するのではなく、担当者が定期的に状況を確認できる仕組みを作ります。
仕事を覚えられているか、人間関係に問題がないか、求人時の説明と実態に違いがないかなどを確認します。
採用日をゴールとせず、3ヶ月後や6ヶ月後の在籍人数まで追うことで、本当に費用対効果の高い採用経路が見えてきます。
適正な採用予算と手法を決める3ステップ
採用予算は、相場から逆算して決めるのではなく、自社の過去実績と必要人数から組み立てます。適正な採用予算と手法を決める3ステップを紹介します。
1.採用実績を一覧にして優先課題を決める
最初に、直近半年から1年程度の採用実績を整理します。媒体ごとの費用だけではなく、応募、面接、内定、入社、定着まで一覧にしてください。
応募が十分あるのに採用できていない場合は、新しい求人媒体を追加しても問題が解決しない可能性があります。
面接率が低いなら応募対応や日程調整、内定辞退が多いなら条件提示や選考期間、早期離職が多いなら求人内容と実際の仕事のギャップなどを確認します。
採用単価が高いという結果だけを見るのではなく、どの工程が費用を押し上げているのかを特定しましょう。
2.必要人数と採用期限から予算の上限を決める
次に、何人をいつまでに採用する必要があるかを明確にします。そのうえで、自社の過去実績などから目標とする採用単価を設定します。
具体例として、仮に目標採用単価を30万円とし、4人の採用が必要なら、基本となる採用予算は120万円です。
30万円×4人=120万円
ここで使用した30万円は説明用の架空の目標単価であり、ドライバー採用の適正価格を示すものではありません。自社で過去1年間に1人40万円かかっているのであれば、いきなり20万円を予算上限にしても必要人数を確保できない可能性があります。
また、未経験者を採用する場合の免許取得支援や教育費は、採用広告費とは分けて受け入れ予算として計算すると管理しやすくなります。採用費を減らすことだけを目的にすると、人員不足が長引き、既存ドライバーの負担や運行計画へ影響することも考えられます。
採用期限と必要人数を満たせることを前提に、現実的な予算を設定しましょう。
3.同じ募集条件で見積もりを取り、社内に提案する
求人媒体や人材紹介会社を比較するときは、各社へ同じ募集条件を伝えることが重要です。
勤務地、車種、必要免許、給与、勤務時間、採用人数、採用期限などが異なれば、見積金額だけを比較しても意味がありません。費用以外にも、求人原稿の制作、応募者管理、スカウト、運用改善など、どこまで支援してもらえるのか確認しましょう。
人材紹介であれば、紹介手数料だけでなく返戻金制度や追加料金、契約条件なども確認します。
社内へ提案するときは、以下をまとめておくと、単に広告費を増やす提案ではなく、採用計画として説明できます。
- 現状の採用単価
- 現在の採用経路別実績
- 必要人数
- 採用期限
- 改善する項目
- 新たな予算
- 効果を確認する時期
安いサービスを探すことが目的ではありません。必要な人材を確保するまでに、どの方法が最も合理的かを判断することが重要です。
ドライバーの採用単価に関するよくある質問
最後に、ドライバーの採用単価を計算するときに迷いやすい点を整理します。
採用人数が0人の場合、採用単価はどうなりますか?
採用人数が0人の場合、採用単価は計算できません。採用単価は採用総費用÷採用人数で求めますが、0人で割ることはできないためです。
求人広告に40万円を使い、応募が10人、面接が3人、採用0人だった場合は以下のように管理します。
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項目 |
結果 |
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採用費 |
40万円 |
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応募 |
10人 |
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面接 |
3人 |
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入社 |
0人 |
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応募単価 |
4万円 |
|
採用単価 |
算出不可 |
採用単価だけではなく、応募や面接までの数字を残しておけば、なぜ採用できなかったのかを検証できます。
選考中の候補者が残っている場合は、採用0人と確定させず、未確定として管理してもよいでしょう。
複数媒体を比較する場合は、同じ募集期間や採用条件で区切って評価することも重要です。
人材派遣の料金と直接雇用の採用単価は比較できますか?
人材派遣の料金と直接雇用の採用単価は、同じものではありません。
採用単価は、自社で直接雇用する人材を採用するまでにかかった費用を示します。一方、派遣料金は、派遣会社との契約に基づいて一定期間人材の提供を受けるための費用です。
そのため、採用単価30万円と派遣料金30万円をそのまま並べて、どちらが安いか判断することはできません。
比較する場合は、必要な期間をそろえて総額を見る必要があります。
たとえば6ヶ月間の人員確保が必要なら、直接雇用側では採用費だけでなく、給与や受け入れ費用などを確認します。派遣側では6か月分の料金と、別途発生する費用を確認します。
また、直接雇用と派遣では雇用関係や指揮命令関係も異なります。急な欠員を一定期間補いたいのか、長期的に自社のドライバーとして育成したいのかによって、適した方法は変わります。
金額だけではなく、必要人数、利用期間、採用目的をそろえて比較しましょう。
まとめ|採用単価を見える化し、自社に合う採用手法を選ぼう
ドライバーの採用単価は免許の種類や採用手法によって異なります。求人広告費をただやみくもに投じるのではなく、外部コストと内部コストを正確に把握し、応募から採用に至るまでの歩留まりを管理する必要があります。
まずは、自社で実際に使った採用費を入社人数で割り、採用単価を算出しましょう。そのうえで、媒体別に応募数、面接数、入社数、一定期間後の在籍人数まで確認すると、どこを改善すべきか判断しやすくなります。
ドライバーは有効求人倍率が全職業平均を上回っており、人材の確保そのものが簡単ではありません。
求人内容を具体化する、応募対応を改善する、未経験者を育成できる環境を整える、媒体ごとの入社実績を確認する、早期離職を防ぐなどの改善を重ねることで、必要な人材を確保しながら採用単価を抑えられる可能性があります。
まずは直近半年から1年間について、採用経路ごとの費用・応募・面接・入社・定着状況を一覧にしてみましょう。その数字が、次の求人媒体や人材紹介会社を選ぶ際の判断基準になります。
梅原 真琴


