トラックドライバー不足の原因は?現状・影響と企業が取り組む対策を解説

2026.09.24

トラックドライバー不足の原因は?現状・影響と企業が取り組む対策を解説

物流業界では、トラックドライバー不足が深刻な経営課題になっています。求人を出しても応募が集まりにくいだけでなく、採用できても定着せず、既存ドライバーへの負担が増えている運送会社も少なくありません。

さらに2024年4月からは、自動車運転業務に時間外労働の上限規制が適用されました。ドライバーの働き方を改善するために必要な制度である一方、長時間労働を前提として輸送量を確保してきた企業では、従来と同じ運行方法を続けにくくなっています。

このドライバー不足は、採用活動だけで解決できる問題ではありません。給与や勤務時間、荷待ち時間、荷役作業、配送方法、教育体制などを総合的に見直す必要があります。

この記事では、トラックドライバー不足の現状と原因、運送会社・荷主・消費者への影響を整理したうえで、企業が実際に取り組める対策を解説します。

トラックドライバー不足の現状と今後の見通し

トラックドライバー不足は、一時的な採用難ではなく、労働環境や年齢構成、輸送方法などが複雑に絡み合った構造的な問題です。

まずは、2024年問題との関係、有効求人倍率、2030年度の輸送力不足予測から現状を把握しましょう。

2024年問題とドライバー不足の関係

2024年問題とは、時間外労働の上限規制などへの対応に伴い、従来の運行方法では必要な輸送力を確保しにくくなる課題です。長時間労働に頼ってきた企業では、ドライバーの人数が同じでも、1人が担当できる運行量が減る可能性があります。

つまり、2024年問題でドライバー不足が初めて生じたわけではありません。もともとの採用難や高齢化に、限られた労働時間で荷物を運ぶ必要性が重なることで、人員確保と輸送効率の両方が課題になっています。

輸送力を考える際は、運ぶ側の人員だけでなく、荷物量にも目を向ける必要があります。宅配便の取扱個数は、長期的に増加してきました。

宅配便取扱個数の推移

出典:国土交通省|令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について

国土交通省によると、2024年度の宅配便取扱個数は約50.3億個でした。こうした配送需要に限られた人員で対応するには、運転だけでなく、荷待ちや荷役、再配達にかかる時間も含めて運行を見直す必要があります。

このように、2024年問題への対応では、ドライバーの確保と、1人当たりの労働時間に頼らず輸送量を維持する工夫を合わせて考えることが重要です。

有効求人倍率から見るドライバーの採用難

ドライバー採用の難しさを示す指標のひとつが、有効求人倍率です。有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割ったもので、数値が高いほど求職者1人に対して多くの求人が存在していることを意味します。

厚生労働省の「統計からみる運転者の仕事」では、2024年度のトラック運転者の有効求人倍率は2.37倍でした。同年度の全職業平均は1.14倍であり、トラック運転者は全職業平均を大きく上回っています。2020年度の1.94倍からも上昇しており、採用競争が厳しい状態が続いていることがわかります。

参考:厚生労働省|統計からみる運転者の仕事

ただし、有効求人倍率が2.37倍だからといって、「必要なドライバーの半数以上が不足している」と判断することはできません。有効求人倍率はハローワークで扱う求人と求職者の関係を表す指標であり、日本全体のドライバー不足人数を直接示すものではないためです。

自社の採用状況を判断するときは、業界全体の有効求人倍率だけでなく、求人の表示回数、応募数、面接数、採用数、入社後の定着率まで確認する必要があります。

2030年度に向けた配送力不足の見通し

ドライバー不足について調べると、「2030年度には輸送力が34%不足する」という情報を目にすることがあります。しかし、国土交通省が2026年に示した再検証では、見通しが更新されています。

当初想定されていた2030年度の約34%のトラック輸送需給ギャップについて、官民による2024年問題への対策などにより約14%分は概ね克服できたと整理されました。さらに輸送需要の変化などを踏まえて再検証した結果、2030年度に何も施策を講じなければ、平均的な想定で約7%、条件によっては最大約25%、輸送量では約1.7億~7.2億トンの不足が生じる可能性が示されています。

つまり、「2030年度に必ず34%不足する」という説明は、現在の国土交通省の見通しとは異なります。

一方で、最新の予測でも輸送力不足のリスク自体がなくなったわけではありません。国は荷待ち・荷役時間の短縮、積載効率の向上、モーダルシフトなどを組み合わせて輸送力を確保する方針を示しています。

運送会社にとっても、採用だけに依存せず、現在いるドライバーがより効率的に働ける仕組みを整えることが重要です。

参考:国土交通省|2030年度に想定される輸送力不足への対応方針

ドライバー不足が深刻化している原因

ドライバー不足で特に大きいのが、長時間労働や待遇の問題と、ドライバーの高齢化に対して若手人材の確保が追いついていないことです。

ドライバー不足が深刻化している原因を解説します。

長時間労働と待遇面の課題

トラックドライバーの仕事では、運転している時間だけが勤務時間になるわけではありません。荷物を積むまでの荷待ち、積み込みや荷卸し、検品、配送先での待機なども勤務時間に影響します。そのため、自社の運行計画だけを改善しても、荷主側の作業状況によって長時間労働が発生することがあります。

ドライバー不足を解消するには、単に求人広告の掲載回数を増やすのではなく、実際に働く人が続けられる労働条件を整える必要があります。ここで難しいのが、労働時間を短くした結果、残業代が減って収入も下がってしまうケースです。

企業側が勤務時間だけを削減すると、ドライバーから見れば「仕事は楽になったが収入も減った」という状態になりかねません。基本給や各種手当、運行内容を含めて賃金体系を確認し、生産性向上と待遇改善を同時に進めることが重要です。

そのためには、適正な運賃を収受できているかという取引面の見直しも必要になります。国土交通省も、ドライバーの賃金・労働時間改善には、必要なコストに見合う運賃の収受が重要だとしています。

ドライバーの高齢化と若手人材の確保難

ドライバー不足を考えるうえでは、現在の人数だけでなく年齢構成にも注目する必要があります。

国土交通省は、トラック業界について全産業平均より若年層の割合が低く、中年層の割合が高いことを構造的課題として挙げています。厚生労働省のポータルサイトでも、トラック運転者の平均年齢や就業者の年齢構成を継続的に公表しています。

参考:国土交通省|トラック運送業をとりまく現状及び最近の取り組み

ベテランドライバーが多い会社では、現在は配車を維持できていても、数年後に複数人が同時期に退職する可能性があります。その段階になって初めて求人を始めても、経験者を短期間で確保できるとは限りません。

若手採用を増やすには、普通免許しか持っていない人や運送業未経験者も採用対象として考え、免許取得支援や研修によって育成する視点が必要です。経験者だけを対象とした採用から、入社後に育てられる採用へ切り替えられるかどうかが、中長期的な人員確保を左右します。

ドライバー不足が運送会社・荷主・消費者に与える影響

ドライバー不足の影響を受けるのは、運送会社だけではありません。

荷物を発送する荷主企業、商品を購入する消費者まで含め、物流に関わるすべての人に影響が及ぶ可能性があります。

ドライバー不足が運送会社・荷主・消費者に与える影響を解説します。

運送会社への影響|受注機会の損失と収益への圧迫

ドライバーを確保できなければ、トラックが空いていても運行できません。その結果、新規案件を断ったり、対応エリアや便数を縮小したりする必要が生じ、売上機会を失う可能性があります。

一方で、人材確保のためには給与や採用費、教育費などを増やす必要があります。人件費が増えているにもかかわらず従来と同じ運賃で配送を続ければ、利益率が低下する可能性もあります。

2024年問題について国土交通省は、労働時間の制限に伴って1日に運べる荷物量が減り、トラック事業者の売上・利益やドライバーの収入に影響する可能性を示しています。

自社への影響を確認する際は、「人が足りない」という感覚だけで判断しないことが大切です。受注を断った件数、稼働できていない車両、残業時間、採用費、1運行当たりの利益などを確認すると、人手不足がどの程度経営を圧迫しているのか見えやすくなります。

参考:国土交通省|物流の「2024年問題」とは

荷主への影響|輸送手段の確保難と物流コストの上昇

荷主企業にとっては、希望する日時に必要なトラックを確保できなくなることがリスクです。特に長距離輸送や繁忙期には、従来と同じ締め切りや納品条件では運送会社が対応できない場合があります。

また、ドライバーの待遇改善や燃料費などを適切に運賃へ反映する動きが進めば、荷主側の物流コストが上昇する可能性もあります。そのため、荷主には「できるだけ安く運んでもらう」だけではなく、輸送そのものを継続できる条件を運送会社と一緒に考える姿勢が求められています。

2025年度からは物流効率化法により、すべての荷主に対して、荷待ち時間の短縮や荷役時間の短縮、積載効率の向上などに取り組む努力義務が課されています。一定規模以上の特定事業者については、2026年度から中長期計画や定期報告なども求められています。

出荷情報を早めに共有する、トラックが集中しないよう納品時間を調整する、パレットを利用するなど、荷主側の協力も輸送力確保につながります。

参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

消費者への影響|配達サービスや送料の変化

ドライバー不足が続けば、消費者が利用する配送サービスにも影響する可能性があります。これまで当たり前だった当日配送や翌日配送、細かな時間帯指定などは、多くの輸送力によって支えられています。

輸送力が不足すれば、配送日数や受付条件が見直される可能性があります。また、人件費や輸送費の増加が送料へ反映されるケースも考えられます。

消費者側でも、一度で受け取れる日時を指定する、宅配ボックスや置き配などを利用する、注文をまとめるなどの行動によって再配達を減らせます。1件だけを見れば小さな改善ですが、物流全体で配送回数を減らすことは、限られたドライバーで必要な荷物を運ぶための重要な取り組みです。

ドライバー不足の対策5選

ドライバー不足対策では、採用人数を増やす施策と、現在働いている人が辞めにくい職場をつくる施策を同時に進める必要があります。

中小規模の運送会社でも検討しやすい5つの方法を紹介します。

給与・休日・勤務時間・労働環境を見直す

最初に確認したいのが、現在働いているドライバーの労働条件です。求人への応募が少ない場合、広告の文章だけを変更しても、競合企業と比べて給与や休日などの条件に大きな差があれば採用にはつながりにくいでしょう。

まず、基本給と手当の内訳、残業代への依存度、年間休日、連続勤務、拘束時間などを確認します。

勤務時間については改善基準告示を前提として運行計画を組む必要があります。現在の運行をそのまま維持した状態で「残業だけ減らす」のではなく、荷待ちや荷役、中継地点、配送ルートまで含めて見直すことが重要です。

待遇改善の原資を確保できない場合は、運賃や契約条件も確認します。ドライバーの給与だけを上げ、運賃を変えないままでは会社の利益を圧迫するため、労働環境改善と取引条件の適正化はセットで考える必要があります。

求人内容と応募対応を見直す

求人広告では、「トラックドライバー募集」や「未経験歓迎」と書くだけでは、応募者が実際の働き方をイメージできません。配送エリア、1日の配送件数、扱う荷物、手積み・手降ろしの有無、使用する車両、必要な免許、研修期間、独り立ちまでの流れなどを具体的に記載しましょう。

厚生労働省は2024年4月から、求人時に明示すべき事項として、従事する業務や就業場所の「変更の範囲」などを追加しています。求人票を長期間使い回している場合は、現在の明示ルールに対応しているか確認が必要です。

参考:厚生労働省|令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます

応募が来た後の対応も重要です。応募数は確保できているのに採用につながらない企業では、連絡が遅い、面接日を柔軟に設定できない、応募者の質問に担当者が答えられないなどの問題が隠れている場合があります。

応募数だけでなく、応募者への連絡率、面接設定率、面接参加率、内定承諾率を確認すれば、採用活動のどこに問題があるのか判断しやすくなります。

運転免許取得費用を支援し、未経験者が応募しやすくする

必要な免許を持つ経験者だけを募集すると、採用対象となる人数は限られます。

そこで検討したいのが、普通免許しか持っていない人や運送業未経験者を採用し、会社が免許取得を支援する方法です。制度を導入する場合は、対象とする免許、会社が負担する費用、教習中の給与、免許取得後の研修内容などを明確にしておきましょう。

全日本トラック協会では2026年度、都道府県トラック協会の会員事業者を対象に、若年ドライバーなどの特例教習や準中型免許取得、外国免許切替講習にかかる費用を支援する事業を実施しています。助成額や条件は各都道府県トラック協会によって確認が必要です。

自社ですべてを負担する前に、利用できる助成制度がないか確認するとよいでしょう。

参考:トラック協会|令和8年度若年ドライバー等確保のための運転免許取得支援助成事業について

配送方法と車両装備を見直し、身体的負担を減らす

ドライバーの仕事を「運転だけ」で考えてはいけません。手積みや手降ろしが多い現場では、荷役作業そのものが大きな身体的負担になります。

例えば、荷主と協議してパレットやカゴ台車へ変更できれば、荷役時間だけでなく身体への負担も軽減できる場合があります。物流効率化法でも、荷役時間を短縮するためにパレットなどを利用することが荷主の取り組み例として示されています。

車両についても、安全装置やバックモニターなどを活用すると、運転時の負担を補助できます。ただし、安全装置を導入すれば事故が起こらなくなるわけではありません。装置の特性を理解したうえで、安全確認の手順を教育する必要があります。

身体的負担を減らす取り組みは、女性や若手の採用対象を広げるためだけでなく、現在働いているベテランドライバーが長く働くためにも有効です。

同乗研修と定期面談で早期離職を防ぐ

採用に成功しても、短期間で退職されてしまえば人手不足は解消できません。特に未経験者の場合、入社直後から経験者と同じ業務を任せるのではなく、本人の経験や習熟度に応じて段階的に仕事を覚えられる体制が必要です。

同乗研修では、運転技術だけでなく、積載方法、配送先でのルール、事故発生時の対応、日報や端末の使い方まで確認します。

国土交通省では、初任運転者に対して安全運転の実技、危険予測、貨物の正しい積載方法、健康管理、運転支援装置の特性などを指導することを求めています。また、新たに採用した貨物運転者については、初めてトラックに乗務する前の初任診断も必要です。

研修後も、1ヶ月後、3ヶ月後など節目で面談することが重要です。

本人が困っていることを聞くだけで終わらず、誰が、いつまでに、何を改善するのかまで決めることで、「相談しても何も変わらない」という不満を防ぎやすくなります。

参考:国土交通省|事業用自動車の安全対策(運転者に対する指導及び監督)

業務効率化で輸送力を確保する3つの対策

採用できる人数には限界があります。そのため、ドライバー1人当たりの労働時間を増やすのではなく、運転以外に費やしている時間や空車時間を減らし、限られた人員で輸送力を確保することが重要です。

業務効率化で輸送力を確保するための3つの対策を解説します。

配車システムで配送ルートと運行計画を見直す

配車担当者の経験だけに頼っている企業では、配送ルートや車両配置に改善余地が残っている場合があります。

配車システムや動態管理システムを利用すれば、車両の位置や運行状況を把握しながら配送ルートを組みやすくなります。

ただし、システムを導入すること自体を目的にしてはいけません。最初に確認したいのは、現在どこで時間を使っているのかです。運転時間、荷待ち時間、荷役時間、空車での移動時間などを整理し、改善したい問題を明確にしたうえでシステムを選びます。

国土交通省も、デジタコについて、労務管理や荷待ち・荷役時間の可視化、運行状態の分析などに活用できるとしています。一方、事業規模や運用方法によって必要な機能は異なるため、自社に必要な機能を判断することが重要です。

高額なシステムを導入する前に、まず既存の運行記録から非効率な時間を洗い出すところから始めてもよいでしょう。

参考:国土交通省|デジタコ装着の意義と最新の政策動向

荷主と連携して荷待ち時間を減らす

ドライバーの労働時間を削減するうえで、自社だけでは改善できない代表的な問題が荷待ちです。荷主側の倉庫へ予定どおり到着しても、荷卸しを始めるまで長時間待たされれば、その時間もドライバーの拘束につながります。

2025年度から施行された物流効率化法では、荷主にも荷待ち時間や荷役時間の短縮に取り組む努力義務があります。例えば、一度に多数のトラックが集中しないよう到着時間を調整することや、パレットなどを利用して荷役を効率化することなどが示されています。

運送会社から改善を求める場合は、「待たされて困っている」と伝えるだけでは十分ではありません。到着時刻、荷役開始時刻、終了時刻を記録し、「この拠点では1運行平均○分の待機が発生している」と客観的に示したほうが話し合いを進めやすくなります。

そのうえで、予約時間の分散、受付方法の変更、パレット化など、双方にとって実行可能な改善方法を検討します。

参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト|5分でわかる物流効率化法の改正のポイント

中継輸送で長距離運行の負担を分散する

長距離輸送が多い会社では、中継輸送も選択肢になります。中継輸送とは、1人のドライバーが出発地から目的地まで走り切るのではなく、途中の拠点で別のドライバーに交代する輸送方法です。

国土交通省は、中継輸送について、長距離運行を複数のドライバーで分担することで日帰り勤務を可能にし、労務負担の軽減や人手不足の緩和につながる方法と位置付けています。例えば東京と大阪を往復する仕事でも、中間地点付近で車両や荷物を引き継げば、それぞれのドライバーが自社拠点へ戻りやすくなります。

一方、中継地点の確保や運行時刻の調整が必要になるため、すべての路線に適しているわけではありません。

長距離便の中でも特に拘束時間が長いルートを抽出し、中継地点を設定できるか、協力会社と連携できるかを確認するとよいでしょう。

参考:国土交通省|報道資料|「物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定

外国人ドライバーの受け入れと自動運転の活用

外国人材や自動運転技術も、中長期的な人手不足の解決策のひとつです。ただし、どちらも「すぐに人手不足を解決できる方法」ではありません。制度や導入条件を理解したうえで検討する必要があります。

それぞれの活用時のポイントを解説します。

特定技能制度を活用して外国人ドライバーを受け入れる

2024年3月、自動車運送業が在留資格「特定技能」の対象分野に追加され、トラックドライバーとして特定技能外国人を受け入れられるようになりました。特定技能1号評価試験は2024年12月から開始されています。

トラック運転者の場合、特定技能1号評価試験への合格に加え、日本の第一種運転免許が必要です。

日本語能力についても、原則として国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上などの要件があります。受入れ事業者についても、「働きやすい職場認証制度」またはGマーク制度の認証取得などの要件が定められています。

したがって、「外国人を採用すればすぐ運転を任せられる」という制度ではありません。免許取得や在留資格の手続きだけでなく、日本の道路交通ルール、配送先でのやり取り、荷役、安全教育などを教えられる社内体制も必要です。

国内採用とは異なる準備が必要になるため、中長期的な人材戦略として検討するのが現実的です。

参考:出入国在留管理庁|特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)

自動運転トラックの活用に向けた動向と課題

自動運転トラックは、将来的なドライバー不足対策として期待されています。

自動運転トラックのイメージ

出典:経済産業省|2026年以降の新東名高速道路におけるレベル4(無人走行)トラックの社会実装を目指す取り組み

2025年には新東名高速道路で自動運転トラックの実証が行われ、2026年度からは東北自動車道でも、合流支援や道路前方の情報提供などを検証する実証が進められています。国も、2026年度以降のレベル4自動運転トラックの社会実装に向けた取り組みを支援しています。

ただし、現時点で一般の運送会社が購入して全国の配送を完全無人化できる段階ではありません。

高速道路だけではなく、物流拠点からインターチェンジまでの一般道、荷物の積み降ろし、車両の監視、トラブル発生時の対応など、実際の輸送では多くの課題があります。経済産業省も2026年度以降、高速道路に加えてICと周辺物流施設を結ぶ一般道を含めた実証が必要だとしています。

そのため、中小運送会社では自動運転を待つのではなく、まず現在利用できる配車管理、デジタコ、荷役省力化、中継輸送などから進めることが現実的です。

自社が最初に取り組むべきドライバー不足対策の決め方

多様な解決策が存在する中で、自社が優先して着手すべき施策はボトルネックの正確な把握によって決定します。

課題の所在を無視して流行のDXや制度導入へ飛びついても、期待した費用対効果は得られません。

まずは以下の「フェーズ別課題」と照らし合わせ、自社が最もつまずいているポイントを特定しましょう。

  • 応募が来ない:求人媒体の選定見直しや募集条件の再設計
  • 選考辞退が多い:応募受付からの初回連絡スピード短縮
  • 早期離職が続く:同乗教育の拡充や労働時間・住環境の改善
  • 荷待ちが長い:荷主企業との交渉およびバース予約システムの導入

上記のように問題点をフェーズごとに切り分け、投資対効果が高く即効性のある施策から優先順位をつけて実行しましょう。

ドライバー不足に関するよくある質問

ドライバー不足に関するよくある質問と、その回答を紹介します。

Q. 資金力がない中小企業でもできる効果的な人手不足対策はありますか?

大きな設備投資をしなくても始められる対策はあります。

まず取り組みたいのは、求人票の見直し、応募者への連絡速度の改善、既存ドライバーとの定期面談、荷待ち時間の記録、配送ルートの確認です。

これらは高額なシステムを導入しなくても始められます。

特に採用では、広告費を増やす前に応募から採用までの数字を確認しましょう。応募があるのに面接につながっていないのであれば、求人媒体を追加するより応募対応を改善したほうが効果的な場合があります。

免許取得支援など費用がかかる施策についても、トラック協会などの助成制度を利用できる可能性があります。2026年度にも若年ドライバーなどを対象とした免許取得支援が実施されているため、所属する都道府県トラック協会へ確認しましょう。

Q. 荷主企業に運賃交渉や荷待ち改善を切り出すコツはありますか?

重要なのは、値上げや改善をお願いする理由を数字で示すことです。例えば、荷主ごとに荷待ち時間や荷役時間を記録し、「月間で何時間の拘束が発生しているか」「その結果、何便の運行に影響しているか」を整理します。

運賃交渉についても、人件費や燃料費が上がったという一般論だけでなく、その荷主の配送に必要な車両、人員、拘束時間などを示したほうが説明しやすくなります。

荷待ち改善については、現在の物流効率化法で荷主にも荷待ち時間・荷役時間の短縮などに取り組む努力義務が設けられています。運送会社だけの都合として話すのではなく、「輸送を継続するために一緒に改善したい」という形で協議するとよいでしょう。

改善案まで提示することも重要です。納品時間の分散、事前予約、パレット化、検品方法の変更など、荷主側にも検討できる具体策を示せば、単なる値上げ交渉ではなく物流改善の話として進めやすくなります。

ドライバー不足を解決するには早急な対応が必要

トラックドライバー不足は、求人広告を増やせば解決する単純な問題ではありません。長時間労働や待遇、高齢化、若手人材の不足、荷待ち・荷役、配送方法など、複数の課題が関係しています。

さらに国土交通省の最新の見通しでも、何も対策を講じなければ2030年度には平均約7%、条件によって最大約25%のトラック輸送力不足が生じる可能性があります。かつて示されていた約34%という予測からは改善しているものの、輸送力不足のリスクがなくなったわけではありません。

まずは自社で、応募数、採用数、退職者数、労働時間、荷待ち時間、車両稼働率などを確認してみましょう。採用が問題なのか、定着なのか、運行効率なのかがわかれば、優先して取り組むべき対策も見えてきます。

給与や求人内容を見直すだけでなく、免許取得支援、教育、荷主との連携、中継輸送、DXなどを組み合わせ、少ない人数でも無理なく輸送を続けられる体制を整えることが、ドライバー不足への持続的な対策になります。

梅原 真琴

梅原 真琴

人材業界で​7年間、​一貫して​企業の​採用課題に​向き合い、​セールスマネージャーと​して​運輸業などを​中心に​累計300社以上の​採用を​成功に​導く。​その​中で、​学歴や​経験で​可能性が​閉ざされが​ちな​若者と、​人材不足に​悩むノンデスク領域の​企業との​間に​大きな​機会が​あると​感じ、​2023年に​株式会社クロセスを​設立。​「しごとで​笑える​若者を​増やす」を​ビジョンに​掲げ、​未経験・​若年層に​特化した​求人メディア​「ジョブリット」を​運営。​若者の​可能性に​火を​つけ、​輝く​未来の​創出を​目指す。​

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