
軽貨物業界で「求人を出してもドライバーが集まらない」や「採用しても長く続かない」などと悩む事業者は少なくありません。
ECの普及によって配送需要が高まる一方、現場では荷量や配送エリアの偏り、募集条件と実際の働き方のギャップ、研修体制の不足など、複数の問題が重なっています。そのため、人手不足を解消するには求人広告を増やすだけでは十分とはいえません。
本記事では、軽貨物業界で人手不足が起きる原因から、企業経営への影響、ドライバーの募集・採用方法、定着施策、配送効率を高める方法まで解説します。
「採用しても人が足りない」という状態から抜け出し、安定して配送を続けられる体制を整えたい採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
軽貨物の人手不足と配送需要の現状
軽貨物の人手不足を考える際には、「物流業界全体で人が足りない」という説明だけで終わらせないことが重要です。同じ100個を配送する場合でも、配送先が狭い地域に集中しているケースと広範囲に分散しているケースでは、必要な時間や人員が変わります。
軽貨物の人手不足と配送需要の現状を紹介します。
ECなどの宅配需要と自社の必要人員を把握する
ECの拡大は、軽貨物を含む宅配ビジネスの需要を支える要因です。
国土交通省の発表では、2024年度の宅配便取扱個数は50億3,147万個に達しています。宅配便全体では依然として大きな配送需要が存在すると考えられます。
参考:国土交通省|令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について
ただし、「宅配便が50億個以上あるから軽貨物ドライバーが不足している」と単純に結び付けることはできません。この統計には軽貨物以外の配送も含まれているためです。
経営上重要なのは、自社の実績から必要な人員を算出することです。
例えば、繁忙期になると荷物が急増して経営者自身が週3回代走しているのであれば、その代走分が一つの不足量として見えてきます。さらに曜日別、エリア別、荷主別の配送件数を記録すれば、どこで人手不足が起きているのか判断しやすくなります。
年間を通じて「何となく忙しい」と捉えるのではなく、荷量と稼働人数を照合し、不足している台数や人数を数字で把握しましょう。
ラストワンマイル配送で必要となる対応力を整理する
物流拠点から住宅や店舗など、最終的な届け先まで荷物を運ぶ区間はラストワンマイルと呼ばれます。
この区間では配送先が細かく分散するため、荷物の個数だけでは業務量を判断できません。不在による再配達や時間指定、集合住宅での移動なども配送時間に影響します。
国土交通省が公表している2024年10月期のサンプル調査では、宅配便の約10.2%が再配達となっていました。再配達が発生すれば、一度訪問した配送先へ再び向かう必要があり、同じ荷物数でもドライバーの負担は増えます。
参考:国土交通省|令和6年10月の宅配便の再配達率は約10.2%~前年同月比0.9ポイント減少、前回比0.2ポイント減少~
そのため、人員計画では「1人あたり何個配れるか」だけを見るのではなく、配送密度や走行距離、不在率、時間指定の数なども確認することが重要です。特定のエリアだけ残業や持ち戻りが多い場合、人を増やす前に配送区域の再編成や荷主との条件調整を行うことで改善できる可能性があります。
軽貨物の人手不足を招く3つの原因
軽貨物の人手不足は、採用人数だけで決まる問題ではありません。新しくドライバーを確保しても、負担の大きい配送環境や募集時との条件差が残ったままでは、早期離脱が続いてしまいます。
人手不足を根本から改善するために、自社で起きている原因を分解して考えてみましょう。
配送量とエリアの偏りで業務負担が増加する
荷量と配送エリアの偏りは、ドライバーの負担を増やす代表的な原因です。
一例を挙げると、一方のドライバーは住宅が密集するエリアを担当し、もう一方は配送先同士が離れた郊外を担当している場合、同じ100個を割り振っても業務時間は同じになりません。
さらに再配達や長距離移動、荷待ちが重なると、担当者によって稼働時間に大きな差が生じます。
特定のドライバーが辞めるたびに採用するのではなく、まず配送件数、走行距離、稼働時間、再配達などを担当者別に確認してください。負担の集中そのものを改善しなければ、新しく採用した人材にも同じ問題が繰り返される可能性があります。
募集時の説明と報酬・働き方の実態が一致していない
応募を増やすために高収入例や自由な働き方だけを強調すると、稼働後のギャップにつながります。
特に注意したいのが、社員募集と業務委託ドライバー募集の違いです。
社員であれば、賃金や労働時間、休日などの労働条件を明確にする必要があります。一方、業務委託では報酬単価だけでなく、手数料や車両費、燃料費、保険料などを誰が負担するのかによって実際に残る金額が変わります。
「月50万円可能」と記載したとしても、それが売上なのか経費差引後の収入なのか、週何日・何時間程度の稼働を前提としているのかが分からなければ、応募者は正確に判断できません。
フリーランス法では、対象となる業務委託について発注事業者が給付内容、報酬額、支払期日などの取引条件を明示することが求められています。募集情報についても、対象となる事業者には的確な表示が求められます。
参考:厚生労働省|フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ
応募数を増やすだけでなく、条件を理解したうえで応募してもらうことが、その後の定着にもつながります。
研修・相談体制の不足がドライバーの早期離脱を招く
未経験者を採用・契約しても、稼働開始後のフォローが不十分であれば定着しにくくなります。
軽貨物配送では、運転だけでなく、荷積み、配送端末の操作、効率的なルートの確認、荷扱い、不在時の処理、事故・誤配が起きた場合の連絡など、覚えることが少なくありません。これらを「現場で覚えてもらう」という考えだけで済ませると、教える担当者によって内容が変わったり、新人が質問できないまま業務を続けたりする可能性があります。
まず、稼働開始前に伝える内容を整理し、同乗研修やマニュアル、相談先を決めておきましょう。そのうえで開始後1週間、1か月など一定のタイミングで状況を確認すると、問題を早期に把握できます。
離脱した場合も「本人に合わなかった」で終わらせず、荷量、報酬、教育、配送エリアなど、何が原因だったのかを記録しておくことが重要です。
軽貨物の人手不足が企業経営に与える影響
人手不足が長期化すると、「現場が忙しい」という問題だけでは済まなくなります。
受注を増やせない、経営者が配送から抜けられない、募集費や外注費が増えるなど、売上と利益の両面に影響するためです。
軽貨物の人手不足が企業経営に与える具体的な影響を紹介します。
受注の減少や配送遅延で売上・取引継続に影響する
ドライバーが不足している状態では、荷主から追加の配送依頼を受けても対応できません。新しい案件を獲得できる営業力があっても、実際に荷物を運ぶ人がいなければ売上にはつながらないためです。
帝国データバンクによると、2025年度上半期に発生した人手不足倒産のうち、軽貨物を含む「道路貨物運送業」は33件で、前年同期の19件から増加しました。ドライバー不足によって受注減少を余儀なくされたケースがあるとしています。
参考:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2025年度上半期)
一方、人が足りない状態で無理に仕事を引き受ければ、配送遅延や誤配などのリスクも高まります。
「受注できなかった案件」「経営者や管理者が代走した回数」「遅延が発生した件数」などを記録すると、人手不足による機会損失が把握しやすくなります。営業計画と採用計画を別々に考えるのではなく、自社の配送能力を基準として連動させることが重要です。
代走・追加募集の費用が増え、企業の採算が悪化する
欠員が出るたびに経営者が配送へ入っていると、一見すると追加費用をかけずに穴を埋められているように見えます。しかし、本来行うべき営業や採用、荷主との交渉、経営管理に使う時間が失われています。
さらに急な外注、求人媒体への追加掲載、採用後の教育などが繰り返されれば、人手不足によるコストは増大するばかりです。
帝国データバンクの2025年調査では、運輸・倉庫業におけるコスト上昇分の価格転嫁率が28.8%と、全業種平均の39.4%を下回っていました。人件費などが上昇しても、それを十分に運賃へ転嫁できなければ利益は圧迫されます。
参考:帝国データバンク|価格転嫁に関する実態調査(2025年7月)
募集費だけを見るのではなく、代走時間、教育費、外注費なども人手不足に伴うコストとして捉えることが必要です。
軽貨物ドライバーを確保する募集・採用方法
人手不足だからといって、求人媒体を増やせば必ず解決するわけではありません。まず「どの仕事を、どのような契約形態で任せる人が必要なのか」を明確にしたうえで、対象に合った募集方法を選びます。
軽貨物ドライバーを確保するための募集と採用方法を紹介します。
雇用と業務委託を分けて募集条件を設計する
最初に整理したいのが、社員として採用するのか、独立した事業者へ業務委託するのかという違いです。
社員を募集するのであれば、賃金、勤務時間、休日などの労働条件を整理します。業務委託であれば、業務内容、報酬の計算方法、車両・燃料などの経費負担、支払条件、契約期間などを具体化してください。
注意したいのは、「業務委託契約書を結んでいるから必ず個人事業主として扱える」とは限らない点です。
厚生労働省は、労働者に該当するかどうかについて、契約の形式や名称だけではなく、実際の指揮監督関係や報酬などを総合的に見て判断するとしています。自社が必要としている働き方を整理せず、「正社員募集」と「業務委託募集」でほぼ同じ内容を掲載するのは避けましょう。
契約形態と実際の働き方を一致させることが、採用後のトラブル防止にもつながります。
募集地域と対象に合う求人媒体・紹介経路を選ぶ方法
募集媒体は知名度だけで決めるのではなく、「採用したい人に届くか」という観点で選びます。
社員ドライバーであれば、一般的な求人媒体やハローワーク、自社採用サイト、既存社員からの紹介などが候補になります。業務委託ドライバーを探している場合は、業務委託案件を扱う媒体や協力会社、取引先などからの紹介も検討できます。
重要なのは、応募数だけで媒体を評価しないことです。求人サイトAから10人、サイトBから3人の応募があったとしても、実際に稼働を開始した人数がAは1人、Bは2人であれば、Bのほうが自社に合っている可能性があります。
「掲載費→応募→連絡→面談→契約・採用→稼働開始」までを媒体別に記録すると、本当に成果につながっている募集経路を判断できます。
求人原稿・SNSで業務の実態を伝え、応募対応を改善する
求人原稿では、給与や報酬だけでなく、実際の仕事内容が想像できる情報を掲載しましょう。配送エリア、荷物の種類、1日の流れ、研修内容、車両の準備、相談体制などが具体的であるほど、応募者は自分にできそうな仕事か判断しやすくなります。
SNSを利用する場合も同様です。車両や営業所、研修の様子、働く人などを写真や動画で見せることで職場の雰囲気を補足できます。ただし、一部の高収入者だけを取り上げたり、実際より簡単に稼げるように見せたりする表現は避けるべきです。
また、求人内容を改善しても、応募後の対応が遅ければ採用機会を失います。誰が応募を確認するのか、何時間以内を目安に連絡するのか、面談候補日はどう提示するのかまで決めておきましょう。
応募数に加えて「連絡できた割合」「面談へ進んだ割合」「実際に稼働した割合」を確認すると、求人原稿の問題なのか応募対応の問題なのかを切り分けやすくなります。
軽貨物ドライバーの定着・継続稼働を促す改善策
人手不足への対策では、新規採用と同じくらい「現在いる人に継続してもらうこと」が重要です。
毎月3人採用しても3人離脱していれば、稼働人数は増えません。報酬や業務負担、研修、契約内容などを見直し、働き続けられる環境を整えていきましょう。
ドライバーの報酬と経費負担を見直し、継続を支える
報酬を考える際には、企業側の支払額だけでなく、ドライバーが実際に負担している費用も確認する必要があります。社員であれば賃金や休日、労働時間などを確認します。業務委託の場合は報酬単価に加え、燃料費、車両費、保険料、手数料などの負担によって手元に残る金額が変わります。
単純に単価を上げればよいという話でもありません。企業側の採算が合わなくなれば、条件そのものを維持できないためです。
まず荷主別・案件別に売上と配送コストを把握し、ドライバーへ適切な報酬を支払いながら事業として利益を残せる条件を探ります。必要であれば荷主に対して運賃や配送条件を交渉することも選択肢です。
募集時だけ魅力的な数字を見せるのではなく、半年、1年と継続できる報酬設計にすることが重要です。
同乗研修と相談窓口でドライバーの稼働開始後を支援する
新人ドライバーの定着を図るには、「採用したら現場へ出す」で終わらせないことが大切です。
同乗研修では、荷物の積み方や端末の操作だけでなく、ルートの確認、不在対応、荷物を破損した場合の連絡、事故発生時の対応など、実際に起こり得る場面まで共有します。教える内容を担当者任せにすると、人によって説明が変わってしまいます。チェックシートなどを使い、最低限確認する項目を共通化しましょう。
また、稼働開始後に相談できる相手を決めておくことも重要です。分からないことがあったときに誰へ連絡すればよいのか分からない環境では、小さな不安が離脱理由になる可能性があります。
社員への教育と独立した委託事業者への業務説明は法的な位置付けが異なるため、契約形態を踏まえつつ必要な支援体制を整えましょう。
業務委託契約と支払・相談対応を適正化する
業務委託ドライバーとの関係では、報酬額だけでなく「契約が分かりやすいか」や「予定どおり支払われるか」などの基本的な安心感が継続稼働に影響します。
フリーランス法の対象となる取引では、業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を、書面またはメールなどの電磁的方法で明示する義務があります。また、発注事業者の条件によっては、報酬支払やハラスメント対策、中途解除等に関する義務も生じます。
そのため、口頭説明だけで契約を進めるのではなく、業務内容や精算方法を確認できる状態にしておきましょう。
契約変更や配送条件の変更が発生した場合も同様です。「先月と言っていることが違う」や「聞いていた金額と振込額が違う」などの不信感が生じれば、条件そのものが悪くなくても継続は難しくなります。
相談窓口を用意し、問い合わせや苦情の内容を記録しておくことも、組織的な改善につながります。
軽貨物の配送効率と安全性を高める業務改善・DX
人手不足への対策というと採用ばかりに目が向きますが、同じ人数で対応できる配送量を増やす業務改善も欠かせません。ただし、無理に荷物を詰め込んで1人あたりの負担を増やすことは「効率化」とは異なります。
軽貨物の配送効率と安全性を高める業務改善やDXのポイントを解説します。
荷量・配送エリア・労働時間を可視化する
業務改善は、配送現場を数字で把握することから始めます。最低限、担当者ごとの配送件数、走行距離、稼働時間、再配達、荷待ちなどを記録してみましょう。全社平均だけを見るのではなく、曜日別やエリア別に比較することがポイントです。
一例を挙げると、全体では問題がなくても、特定の曜日だけ荷量が集中している場合があります。また、配送件数が少ないドライバーでも走行距離が長ければ、単純に件数を増やすことはできません。
社員ドライバーについては適切な労働時間管理を行い、委託先については契約関係を踏まえながら必要な配送実績を共有します。数字を把握すれば、「人が足りない」のではなく「火曜日のAエリアだけ負担が大きい」などの具体的な課題へ置き換えられます。
配車DXで配送ルートと人員配置を見直す
配送先が増えるほど、担当者の経験だけで最適な配車を組むことは難しくなります。そこで検討できるのが、配車計画やルート作成を支援するシステムです。

配送先、時間指定、車両条件などのデータから配送計画を作成できれば、配車担当者の作業時間や無駄な移動を減らせる可能性があります。
ただし、システムを導入すれば自動的に人手不足が解消するわけではありません。まず「配車作成に時間がかかっている」「走行距離を削減したい」「一部ドライバーへ荷量が偏っている」など、改善したい課題を明確にしましょう。
そのうえで一部エリアから試し、導入前後の配車時間、走行距離、配送遅延などを比較します。
DXは人を減らすためではなく、限られた人員を無理なく活用するための手段として考えることが重要です。
荷主と連携して荷待ち・再配達による業務負担を減らす
配送現場の非効率は、運送会社だけでは解決できないことがあります。
代表例が荷待ちや再配達です。国土交通省は、再配達がドライバー不足を深刻化させる要因のひとつとして、日時指定やコミュニケーションツール、宅配ロッカー、置き配など多様な受取方法の活用を推進しています。
企業間配送でも、集荷時刻や納品方法の見直しによって待機時間を減らせる可能性があります。
まず「どこで、何分程度待っているのか」「どの荷主・配送先で再配達が多いのか」を記録してください。データがあれば、荷主に対して単に「現場が大変なので改善してほしい」と伝えるより、具体的な協議がしやすくなります。
ただし、置き配などの配送方法を運送会社側だけの判断で変更してはいけません。荷主や顧客との契約、同意、運用ルールを確認したうえで改善する必要があります。
貨物軽自動車運送事業者として安全管理を徹底する
人手不足だからこそ、安全管理を後回しにしてはいけません。
国土交通省によると、2016年から2023年にかけて、保有台数1万台当たりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数は約4割増加しました。この状況を受け、2025年4月から貨物軽自動車運送事業の安全対策が強化されています。
参考:国土交通省|貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について
制度改正に伴い、対象となる事業者には貨物軽自動車安全管理者に関する対応や運転者への指導、業務・事故の記録、点呼など、安全管理体制の整備が求められます。適用条件や経過措置は事業者ごとに確認してください。
人が足りないからといって、無理な荷量を割り振ったり、教育が不十分な状態で稼働させたりすれば事故のリスクが高まります。事故が起こればドライバー本人だけでなく、車両の停止や荷主からの信用低下によって、さらに配送能力が落ちる可能性があります。
採用、配送効率、安全管理を別々に考えるのではなく、安定した配送体制を作る一連の取り組みとして進めることが重要です。
自社の課題に合う人手不足対策の進め方
ここまで紹介した施策を一度に行う必要はありません。むしろ重要なのは、自社の人手不足がどこで起きているかを確認し、優先順位を付けることです。
自社の課題に合う人手不足対策の進め方を解説します。
応募不足・早期離脱・配送能力不足を切り分ける
まず、人手不足を「応募」「採用・契約」「稼働」「継続」「配送」の各段階に分けて考えましょう。
そもそも応募が少ないのであれば、募集条件や媒体、求人原稿などに問題があるかもしれません。
応募はあるものの面談へ進まない場合は、応募後の連絡速度や説明内容を確認します。採用・契約できても短期間で離脱する場合には、募集時との条件差、荷量、研修、相談体制などを調べる必要があります。
一方、人数は確保できているのに経営者の代走が減らないのであれば、配送エリアや配車方法、荷待ちなど業務そのものに問題がある可能性があります。
すべてを「ドライバー不足」とまとめず、どの段階で人数や能力が失われているのかを把握してください。
費用・継続稼働・配送品質で取り組みを評価する
採用施策を評価するときに、「今月は20件応募が来た」という数字だけを見るのでは不十分です。企業が必要としているのは応募者ではなく、実際に配送を担い、継続して稼働してくれる人材だからです。
媒体ごとに募集費、応募者数、面談数、採用・契約人数、稼働開始人数を整理し、その後3ヶ月、6ヶ月と継続しているかを確認します。
さらに、人員が増えた結果として配送遅延や代走が減ったのか、配送品質が維持できているのかも見なければなりません。例えば、安価な求人媒体から大量の応募を獲得できても、ほとんど稼働につながらなければ担当者の対応時間が増えるだけです。
反対に応募数は少なくても、自社に合う人材が継続して働いてくれる経路であれば、結果的な採用コストを抑えられる可能性があります。月ごとに同じ指標を確認し、感覚ではなく数字で施策を評価しましょう。
社内で不足する機能に応じて採用・物流の外部支援を活用する
自社だけで改善が難しい場合は、外部サービスを活用する方法もあります。ただし、「人手不足なので何かサービスを入れる」という選び方ではなく、社内で不足している機能から逆算してください。
応募者そのものが少ないのであれば求人媒体や採用広報などの支援、応募は来るものの対応できていないのであれば採用業務の改善が候補になります。
一方、人はいるものの配車担当者の負担が大きいのであれば、配車システムなど物流DXの検討が適しています。急な配送能力不足への対応であれば、協力運送会社とのネットワーク構築が優先されるケースもあるでしょう。
特に業務委託ドライバーを確保したい場合は、利用するサービスが業務委託募集に対応しているかを事前に確認する必要があります。費用だけを比較せず、対象エリア、支援範囲、自社側で必要な作業、成果の確認方法まで整理したうえで相談してください。
自社で行う部分と外部へ任せる部分を明確にすることで、サービスを導入したものの現場で運用できないという失敗を防げます。
まとめ|採用・定着・業務改善で軽貨物の人手不足に対応する
軽貨物の人手不足は、単純に「ドライバーの人数が少ない」という問題だけではありません。
宅配需要が大きい市場環境のなかで、荷量やエリアの偏り、募集条件と実態の差、研修不足、再配達や荷待ちなどの非効率が重なることで、人材を確保しても配送能力が不足する状態が生まれます。
そのため、最初から求人広告の追加だけに頼るのではなく、自社の状況を整理することが重要です。応募が来ていないのか、採用・契約まで進まないのか、稼働開始後に辞めているのか、それとも人数はいても配送効率が悪いのかによって、取るべき対策は異なります。
人材を新しく確保する施策と並行して、報酬や契約条件、研修、相談体制、配車、配送エリア、荷主との条件調整まで見直しましょう。
人手不足の解消で目指すべきなのは、単純に「ドライバーを増やすこと」ではありません。経営者が代走しなくても必要な配送を安定して行え、ドライバーが継続して働ける体制を作ることです。
まずは直近1〜3ヶ月の応募数、稼働人数、離脱人数、代走回数、配送遅延、荷主・エリア別の実績を整理してみてください。どこで人や時間が失われているのかが分かれば、採用・定着・業務改善のどこから着手すべきか判断しやすくなります。
梅原 真琴


