
求人媒体へ掲載しても応募が集まらず、SNSを採用に活用できないかと考えている中小企業もあるのではないでしょうか。
InstagramやTikTokなどを使えば、求人票だけでは伝えにくい仕事内容や職場の雰囲気を発信できます。一方で、SNSを始めれば自動的に応募が増えるわけではありません。
自社の採用課題に合った媒体を選び、投稿を続けられる体制や応募までの導線を整える必要があります。特に、専任の採用担当者がいない中小企業では、複数のSNSを同時に始めるよりも、採用したい人材と発信できる内容を整理して一つの媒体から試すほうが現実的です。
本記事では、中小企業がSNS採用を始める際の媒体の選び方や成功事例、具体的な進め方、費用、効果測定の方法まで解説します。
SNSを自社で運用するか、外部へ依頼するか判断したい方も参考にしてください。
目次
中小企業の採用に合うSNSの選び方
SNS採用では、知名度の高い媒体を選べばよいとは限りません。採用したい職種や地域、社内で用意できるコンテンツ、運用に使える時間によって適した媒体は変わります。
大切なのは、自社が伝えたい情報と媒体の特徴を合わせることです。ここでは、代表的な5つの媒体について採用での活用方法を紹介します。
Instagram:写真と動画で職場の魅力を発信する
Instagramは、写真や短い動画を使って職場や社員の様子を伝えたい企業と相性のよいSNSです。
飲食店であれば、開店前の仕込み風景やホールスタッフの接客、キッチンでの調理、スタッフ同士が協力して働く様子などを発信できます。求職者にとっては、求人票だけでは店内の雰囲気や実際の働き方まで把握しにくいため、写真や動画で職場を確認できることが応募前の判断材料になります。
ただし、料理や店舗をきれいに見せることだけが目的にならないよう注意しましょう。採用につなげるには、勤務地や募集職種、勤務時間帯など、どのような人を募集しているのかがわかる情報も必要です。
スタッフ紹介を投稿する場合も、人柄だけではなく、ホールや調理などの担当業務、入社後に覚えた仕事、未経験からどのように仕事を教えてもらったかなどを盛り込むと、候補者が自分の働く姿をイメージしやすくなります。撮影や画像制作には一定の手間がかかるため、営業中の負担にならない撮影方法や、スタッフが協力できる範囲も事前に決めておきましょう。
TikTok:短い動画で仕事への関心をつくる
TikTokは短い動画を中心としたSNSで、これまで会社を知らなかった人との接点をつくる用途に活用できます。
TikTokのレコメンドシステムでは、ユーザーのリアクションやコンテンツの情報などをもとに、一人ひとりに合わせた動画が表示されます。そのため、フォローされている人だけではなく、仕事内容に関心を持つ可能性がある人に動画が届くことがあります。
採用動画というと、ダンスや流行の企画を想像するかもしれません。しかし、無理に派手な企画を取り入れる必要はありません。
製造業であれば、製品が完成するまでの工程や機械を操作する様子、先輩社員への一問一答などもコンテンツになります。候補者が普段見る機会の少ない仕事ほど、実際の様子そのものが情報になるからです。
一方、動画の再生回数が増えても、勤務地や経験などの条件が合う求職者から応募が来るとは限りません。プロフィールや動画から採用ページへ移動できるようにし、閲覧数だけではなく採用につながる反応を確認することが重要です。
X(旧Twitter):日々の発信と交流で企業理解を深める
Xは文章を中心に短い情報を発信しやすく、企業の日常や考え方を継続的に伝えたい場合に活用できます。
採用目的であれば、募集案内だけを繰り返すのではなく、仕事で大切にしていることや社員が学んだこと、現場で行っている改善、社内イベントなどを発信しましょう。
IT企業であれば、若手エンジニアが新しい技術を学んだ内容や、開発チームで取り組んでいる改善、社内勉強会の様子なども投稿内容になります。たとえば「入社後3ヶ月で担当した業務」や「コードレビューで意識していること」などを発信すれば、求人票だけでは伝わりにくい仕事の進め方や社内の雰囲気を伝えやすくなります。
こうした発信を重ねることで、使用している技術だけでなく、社員同士の関わり方や学び方、会社として大切にしている考え方まで候補者に伝えられます。
ただし、Xでは投稿が時間の経過とともに流れていきます。給与や勤務地、勤務形態、使用技術など応募判断に必要な情報までSNSだけで伝えようとせず、採用ページも用意しておきましょう。
コメントや返信を積極的に行う場合は、誰が対応するのか、技術的な質問や採用条件に関する問い合わせをどこまでSNS上で回答するのかといったルールも決めておく必要があります。
YouTube:仕事内容や研修の流れを詳しく伝える
YouTubeは、短い投稿では伝えきれない仕事内容や会社の雰囲気を詳しく説明したい場合に向いています。
一例を挙げると、施工現場の紹介、社員の一日、入社後の研修、安全教育、社員インタビューなどが考えられます。初めて見る人でも理解できるよう、業界特有の専門用語だけで説明せず、実際の作業風景と組み合わせて伝えることがポイントです。
特に、仕事内容を文章だけで説明することが難しい企業では有効です。
建設会社の求人票に「施工管理」や「現場作業員」と記載されていても、業界経験のない人には具体的に何をする仕事なのかわかりにくいことがあります。朝礼から現場確認、作業の進行、安全確認までの流れを映像で見せれば、入社後の働き方を想像しやすくなるでしょう。
また、資格取得の支援や先輩社員から指導を受ける様子を紹介すれば、未経験者が抱きやすい「自分にもできるのか」という不安を和らげる材料にもなります。
ただし、動画は撮影だけでなく編集にも時間がかかります。運用開始時から毎週投稿などの高い目標を設定すると、通常業務への負担が大きくなりかねません。
まずは会社紹介や職種紹介、研修の流れなど、長く利用できる動画から制作し、Instagramや求人ページから必要な動画へ誘導する方法もあります。
LINE公式アカウント:応募相談と面接までの連絡に使う
LINE公式アカウントは、新しい候補者へ広く情報を届ける媒体というより、会社へ興味を持った人との連絡手段として活用できます。
例えば、InstagramやTikTokから採用ページを見た人にLINE公式アカウントを案内し、職場見学や応募前の質問を受け付ける方法があります。応募後の面接日程や説明会について案内する用途も考えられるでしょう。
候補者が普段利用している連絡手段で問い合わせできれば、応募前の疑問を解消する窓口を増やせます。ただし、友だち数を増やすこと自体を採用成果にしてはいけません。友だち追加後に相談、応募、面接へ進んでいるかを確認することが重要です。
また、採用担当者個人のLINEを利用するのではなく、公式アカウントを利用して担当者や対応時間を決めておくと管理しやすくなります。
中小企業が参考にしたいSNS採用の成功事例
SNS採用を検討するときは、フォロワー数や再生回数だけではなく、どのように求人情報や応募へつなげているかを見ることが重要です。
ここでは、中小企業でも参考にしやすい2つの事例を紹介します。
製造業の企業が求人ページへの誘導で採用につなげた事例
製造業などを展開する三陽工業株式会社は、TikTokを人材募集に活用した事例を公表しています。
同社は2021年11月、TikTokで広報部署の募集動画を公開し、プロフィールから無料求人サイトの求人ページへ誘導しました。その結果、2ヶ月間で15名から応募があり、経験やスキルを持った2名を採用したとしています。なお、募集職種は製造職ではなく広報職です。
この事例で注目したいのは、動画そのものだけで採用を完結させていない点です。
TikTokで会社や募集に興味を持ってもらい、詳しい条件を確認できる求人ページへ移動してもらっています。SNSは候補者との接点、求人ページは具体的な募集情報を確認する場所というように役割が分かれています。
一方、同社のTikTokには当時すでに5万5千人以上のフォロワーがいました。同じ動画を投稿すれば、どの企業でも同程度の応募が得られるわけではありません。中小企業が参考にするのであれば、動画の演出よりも、SNSで興味を持った人が迷わず求人情報へ進める導線をつくることが重要です。
地方企業がInstagramの発信を採用向けに改善した事例
福島県須賀川市の須賀川観光タクシーでは、Instagramのプロフィールや投稿内容を採用向けに改善した事例があります。
自己紹介文で求人していることを明確にし、タクシー業界や職場の雰囲気が伝わる投稿を増やしました。約1ヶ月の運用改善で、月間インプレッションが974件から2,126件へ増加しています。
ここで注意したいのは、2,126件という数字は採用人数ではなくインプレッションである点です。認知が広がったことを示す指標であり、応募人数や採用人数と同じ意味ではありません。
それでも、地方の中小企業にとって参考になる部分があります。新しいSNSを始める前に、既存アカウントのプロフィールや発信内容を採用候補者の視点から見直すことです。
会社を知った人がプロフィールを見ても、所在地や仕事内容、採用中であることがわからなければ応募にはつながりません。まずは誰に何を伝えるアカウントなのかを明確にすることから始めましょう。
参考:SNSSCHOOL|SNS採用の成功事例9選|中小企業の実践例とZ世代の母集団形成戦略
少人数の中小企業がSNS採用を始める5ステップ
専任のSNS担当者を置けない中小企業では、最初から大規模な運用体制をつくる必要はありません。
採用目的と担当者を決め、候補者が知りたい情報を少しずつ発信する仕組みを整えるほうが継続しやすくなります。
1.採用の目的とターゲットを具体的に決める
最初に、SNSを始める目的を明確にしましょう。募集職種、勤務地、採用人数、採用したい時期、必要な経験や資格などを整理します。そのうえで、現在の採用活動で何が不足しているのかを考えてください。
応募そのものが少ない場合と、応募はあるものの仕事内容への理解不足による辞退が多い場合では、発信する内容が異なります。前者なら会社や仕事を知ってもらう投稿、後者なら仕事内容や職場環境を詳しく伝える投稿が必要でしょう。
また、採用ターゲットを年齢や性別だけで決めるのではなく、仕事を選ぶ際に何を不安に感じるのかまで考えることが重要です。SNS運用を始めた後は、実際の応募者から受けた質問を参考にターゲット像を修正していきます。
2.社員の声と仕事の様子から発信テーマを集める
SNSを継続できなくなる原因のひとつが、投稿する内容が見つからなくなることです。そのため、運用開始前に複数の投稿テーマを集めておきましょう。仕事内容、教育、人間関係、働き方、設備などに分けて考えると整理しやすくなります。
社員に入社前に不安だったこと、実際に働いてみて助かったこと、仕事を覚えるまでに難しかったことなどを聞けば、求職者が知りたい情報を見つけやすくなります。
金属加工会社なら、工具の使い方を先輩から教わる場面や、作業開始前に安全確認を行う様子もコンテンツになります。
会社行事だけを発信するのではなく、普段の仕事がわかる内容を増やすことがポイントです。
3.SNSから採用ページへの応募導線を整える
SNSで会社に興味を持ってもらえても、応募方法がわからなければ採用にはつながりません。候補者の行動を、投稿を見る、プロフィールを確認する、採用ページを見る、相談または応募するという流れに分けて考えましょう。
SNSのプロフィールには会社名や地域、事業内容、採用に関する案内をわかりやすく記載し、利用できるリンク機能から採用ページへ案内します。
採用ページもスマートフォンから実際に開いて確認してください。応募ボタンが見つけにくい、入力項目が多すぎる、リンクが切れているといった問題があれば、SNSの閲覧数が増えても応募途中で離脱される可能性があります。
問い合わせと正式応募の窓口を分けている場合は、その違いも明確にしましょう。
4.兼務でも継続できる運用体制をつくる
中小企業では、総務担当者や経営者がSNSを兼務するケースも少なくありません。
その場合、SNS担当者一人に企画、撮影、編集、投稿、問い合わせ対応まで任せると負担が集中します。現場社員が写真や投稿ネタを提供し、総務担当者が原稿を作成、責任者が公開内容を確認するなど、役割を分ける方法があります。
重要なのは、SNS運用を担当者の善意や休日の作業に依存させないことです。勤務時間のうちSNSへ使える時間を決め、確認期限も設けておきましょう。
また、担当者が休んだ場合に誰が問い合わせを確認するのかも決めておく必要があります。人数を増やすことより、誰が何を判断するのかを共有しておくことが継続につながります。
5.投稿をまとめて準備し継続的に発信する
運用を始める際は、毎回ゼロから投稿を考えるのではなく、複数の投稿をまとめて準備すると負担を抑えられます。
仕事紹介、社員紹介、よくある質問、研修、安全への取り組みなど、いくつかのテーマを決めます。撮影も一度に複数の素材を用意しておけば効率的です。
投稿頻度についても、最初から毎日更新する必要はありません。週に何回であれば撮影から確認、返信まで無理なく対応できるかを実際に試しながら決めましょう。
SNS採用は短期間の投稿数を競うものではありません。採用候補者が会社を調べたときに、必要な情報を継続的に確認できる状態をつくることが重要です。
SNS採用の費用と自社運用・外注の選び方
SNSは無料でアカウントを開設できる場合がありますが、採用活動全体が無料になるわけではありません。
自社で運用する場合も、社員が企画や撮影、返信に使う時間はコストです。外部へ依頼する場合は、料金だけでなく社内の負担がどこまで減るのかを比較しましょう。
自社運用は無料の範囲と人件費を確認する
自社運用では、利用するサービスの料金と社内工数を分けて考えます。
LINE公式アカウントは、2026年9月時点で月額固定費0円のコミュニケーションプラン、月額5,000円のライトプラン、月額15,000円のスタンダードプランがあります。有料プランの料金はいずれも税別です。
無料メッセージ数はそれぞれ月200通、5,000通、30,000通で、スタンダードプランでは条件に応じて追加メッセージを送信できます。
ただし、これはLINE公式アカウントそのものの料金であり、SNS採用全体の費用ではありません。写真や動画を撮影する機材、編集ツール、担当社員の人件費なども考える必要があります。
まずは担当者がSNS運用に使った時間を1カ月記録してみると、自社運用の実際の負担を把握しやすくなります。
参考:LINEヤフー for business|LINE公式アカウント料金プラン
運用代行は料金・対応地域・採用実績を確認する
SNS運用を外部へ依頼する場合は、サービスによって対応範囲が異なります。
一例として、トラコム株式会社のInstagram運用代行プランは、2026年時点で初期費用15万円、12カ月契約の場合は月額16万円からと案内されています。
企画、撮影、投稿、効果測定などが含まれていますが、運用代行プランの対応地域は東京・千葉・大阪・京都・兵庫に限られます。このように、表示されている月額料金だけで業者を比較するのは適切ではありません。
自社と近い業種で採用支援の実績があるか、撮影は料金に含まれるか、投稿だけでなく応募導線まで相談できるか、追加費用が発生する業務は何かといった点を確認しましょう。
また、すべてを外注しても、社員への取材や募集条件の確認、応募者への対応まで代行できるとは限りません。外部へ任せる業務と社内で担当する業務を分けてから見積もりを比較すると判断しやすくなります。
SNS採用の効果を測定して応募につなげる方法
SNS採用では、フォロワー数や再生回数だけで成功を判断しないことが重要です。
採用が目的であれば、SNSでの反応が応募や面接、採用へどのようにつながったのかを確認しましょう。
応募・面接・採用までの成果を記録する
SNSの成果は、候補者の行動を段階に分けて記録するとわかりやすくなります。投稿の閲覧、プロフィール閲覧、採用ページへのアクセス、問い合わせ、応募、面接、採用という流れです。
SNS上の閲覧数が増えても採用ページへの移動が増えていないのであれば、プロフィールや投稿内容を改善する必要があります。採用ページへのアクセスは増えているのに応募されない場合は、募集条件やページのわかりやすさを確認する必要があるでしょう。
応募者へ会社を知ったきっかけを聞く方法も有効です。SNSを見た後に求人サイトから応募する人もいるため、応募経路だけではSNSの影響を把握できない場合があります。採用単価を比較する場合は、広告費だけではなく、外注費や制作費など何を費用に含めるのかをそろえたうえで計算しましょう。
応募が増えない原因を段階ごとに見直す
SNS採用で期待した成果が出ないときは、運用そのものをやめる前に、どの段階に問題があるか確認しましょう。
投稿がほとんど見られていないなら、テーマや見せ方を見直します。投稿は見られているもののプロフィールへ進まないなら、会社や仕事への興味につながっていない可能性があります。
採用ページまでは読まれているものの応募されない場合は、募集条件や応募フォームの確認も必要です。面接前の辞退が多い場合は、応募後の連絡速度や、SNSで伝えている仕事内容と実際の選考内容に差がないかを見ましょう。
改善するときは、一度にすべてを変更しないこともポイントです。変更した内容と期間を残しておけば、どの施策が反応に影響したのか判断しやすくなります。SNSだけに原因を求めず、給与や勤務時間、採用地域、他の求人媒体の状況と合わせて確認してください。
中小企業がSNS採用を活用するメリット
求人媒体とは異なる役割を持たせられる点がSNS採用の特徴です。
特に知名度の高くない中小企業では、候補者に会社を知ってもらい、求人票だけでは伝えきれない情報を補う手段として活用できます。
知名度が低くても候補者との接点を増やせる
地域で長く事業を続けている会社でも、求職者が社名を知っているとは限りません。
SNSを活用すれば、会社名で検索していない人にも仕事や社員について知ってもらえる可能性があります。地域名と仕事内容がわかるプロフィールを用意し、実際の仕事を紹介する投稿から採用ページへ案内するのが効果的です。
また、求人媒体で会社を知った人が、応募前にSNSを確認することも考えられます。そのときに社員や職場の様子がわかれば、求人票だけでは得られなかった情報を補完できます。
ただし、全国から多くの閲覧を集めることが必ずしも採用成功につながるわけではありません。地域採用であれば、通勤可能な地域の人から反応があるか、採用ページの閲覧や問い合わせにつながっているかを重視しましょう。
職場の魅力を伝えて応募前の不安を減らせる
SNSでは、求人票に記載する給与や勤務時間だけでなく、実際の職場の様子も発信できます。製造業であれば、朝の安全確認、機械の説明を受けている場面、先輩社員へ質問している様子などが候補になります。
単にアットホームな職場と説明するよりも、社員同士がどのように関わっているのかを具体的に見せるほうが候補者は判断しやすくなります。
一方で、よい部分だけを見せるのは避けましょう。仕事で大変なことや覚えるまでに時間がかかる作業についても、どのような教育やサポートがあるのかと合わせて伝えれば、入社後のギャップを減らす材料になります。
SNSは会社を実態以上によく見せる場所ではなく、候補者が自分に合う職場か判断するための情報を増やす場所として活用することが大切です。
中小企業がSNS採用で注意したいデメリットと対策
SNS採用には、継続的な運用が必要なことに加え、求人情報や写真、コメント対応などへの注意も必要です。
担当者だけに判断を任せるのではなく、公開前に確認するルールを整えておきましょう。
求人の発信は募集条件を正確に表示する
SNSで直接労働者を募集する場合は、投稿内容にも注意が必要です。
厚生労働省は、インターネットやXなどのSNSを含む労働者の募集広告について、募集主の氏名または名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の6情報を表示するよう案内しています。
さらに、これら6情報を掲載した自社サイトへのリンクだけを記載する方法では不十分で、募集広告自体にも6情報を記載する必要があるとしています。
そのため、SNSへ求人を投稿するときは、画像や動画の短さを理由に必要な情報を省かないよう注意してください。
また、求人票とSNSで給与や勤務地などが異ならないよう、公開前に確認する仕組みをつくることも重要です。募集終了や条件変更があった場合には、過去に公開した投稿についても確認しましょう。
参考:厚生労働省|職業安定法に基づく周知|労働者の募集広告の表示について
社員の出演と写真・動画の利用範囲を確認する
社員をSNSへ登場させる場合は、本人の意向を確認してから公開しましょう。発信の目的、掲載するSNS、どの程度の期間使用するのかなどをあらかじめ共有します。
顔を出したくない社員に出演を求める必要はありません。手元だけを撮影したり、社員の経験を文章で紹介したりする方法もあります。
また、製造現場を撮影する場合は、顧客情報や図面、製品、名札、パソコン画面などが映り込んでいないか確認してください。
使用する写真や音楽などについても、入手元と利用条件を確認します。Instagram向けに作った素材を採用広告や別媒体でも使用する場合は、その利用範囲に問題がないかを事前に確かめましょう。
投稿数を増やすことよりも、会社と社員の双方が安心して継続できる運用を優先してください。
炎上や対応漏れを防ぐ運用ルールを共有する
SNSを公開すると、応募希望者だけではなく一般ユーザーからコメントや問い合わせが寄せられる場合があります。
誰が返信するか決まっていないと、問い合わせを放置したり、担当者が個人判断で返信したりする可能性があります。応募相談、一般的な質問、誤記の指摘、批判的なコメントなどに分け、どのケースを責任者へ確認するか決めておきましょう。
特に個人情報を公開コメントで聞くことは避け、応募フォームや公式の問い合わせ窓口へ案内します。担当者が休日の場合の確認方法や、誤った情報を投稿した場合に訂正・削除を誰が判断するのかも共有しておくと安心です。
運用ルールを設けても炎上を完全に防げるわけではありませんが、担当者がその場の感情で対応するリスクを減らせます。
中小企業のSNS採用は目的と継続できる体制から整えよう
中小企業がSNS採用を始めるときは、まず採用したい職種や現在の採用課題を整理し、それに合った媒体を選ぶことが重要です。
写真や動画で職場を伝えたいならInstagram、短い動画から認知を広げたいならTikTok、日々の企業活動や考え方を発信するならXなど、媒体によって役割は異なります。
ただし、SNSだけで採用を完結させる必要はありません。SNSで会社を知ってもらい、採用ページで募集条件を確認してもらい、応募や相談へ進んでもらうという役割分担を考えると運用しやすくなります。
また、専任担当者がいない企業では、最初から複数媒体へ広げず、一つのSNSを小さく試してみる方法もあります。投稿にかかった時間や採用ページへのアクセス、問い合わせ、応募、面接までを記録し、自社に合う方法か判断しましょう。
自社だけでは企画や撮影、継続的な運用が難しい場合は、すべてを任せるのではなく、どの業務を外部へ依頼すれば社内負担を減らせるのか整理したうえで相談することが大切です。
梅原 真琴


